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販促でいちばん大切なこと

新規集客時からリピート率を上げる広告を思考する Vol.3 コンセプト広告とは?

さて、今回はこのコラムの本題である「新規集客時からリピート率を上げる広告を思考する」に入っていきたいと思う。

写真の広告をご覧いただきたい。

この広告は、千葉県のあるエリアで配布されているクーポン券付情報誌で、4年前に実施されたものである。
ご覧のように、見開きで美容室の掲載ページ欄があり、左側は全面広告、右側は集合広告となっている。
そして、この左側の全面広告は、なんと300人以上を集客したのである。

だが、これだけの反応が取れたのは4年前のこと。現在は、これほどの集客力があるかどうかはわからない。
正直にいえば、たとえ広告表現を工夫したとしても、現在、これほどの反応を得ることは、まず無理であることを付け加えておきたい。
この事例は4年前のものであり、少し前のことではあるが、広告表現において押さえておきたい知識が含まれているので、見ていきたいと思う。

 

まず右側の集合広告を見てほしい。

3-3-1.jpgのサムネール画像

左側と比べて、1つ1つのスペースは小さいが、ほとんどがモデルを使った広告であることがわかる。
いわゆるイメージ広告という種類に近いだろう。

一般的にイメージ広告とは、レスポンス広告と対比されることが多い。
右側の広告は、イメージ広告に近いといっても、クーポン券オファーとして活用しているので、厳密的にはレスポンス広告といえる。
だが、右側の広告は、見せ方がイメージ広告と思わずいいたくなる。

その理由は、右側の広告の弱点にある。
それは、右側の広告の場合、それぞれの店名や地図などを別のお店のものに置き換えても、支障がないということ。
別の言い方をすると、右側の広告は、消費者が見て判断する材料は、値段くらいしかないということ。あと、判断材料になるのは場所くらいのものであろう。

このようなクーポン券付情報誌を見る人の多くは、一定のお店に継続していく人ではなく、クーポン券目当てでお店を探している人である。
すなわち、1度来店したとしても、再びクーポン券を求めてお店を変えてしまう可能性の高い顧客が多いということだ。こういった顧客は、浮遊客といわれている。
浮遊客とは、ある一定のお店を決めているのではなく、いわゆるふらふらしている顧客のことで、お店を選ぶ基本的な判断基準が、値段である可能性が高い。

このように浮遊客から選ばれた場合、お店側の最大の課題は、リピートにつながりにくいということである。
実際に、クーポン券付情報誌がきっかけで来店した顧客のリピート率は、10%以下になることも少なくないということだ。

次に、300人以上を集客した左側の全面広告を見てほしい。
「人と人との絆を大切にする」というコンセプトを持つ美容室の広告である。

このコンセプトをそのままキャッチコピーのようにして文字で伝えているのをはじめ、このコンセプトの真実味を
トーン&マナーとしてビジュアルにも活かしている。
また、右側の大半の広告と決定的に違うのが、他の店名に変えては広告としての機能が成り立たないということである。
このような、コンセプトをしっかり伝えている広告は強い。

私は、こういった広告を「コンセプト広告」と定義している。
コンセプト広告は、新規集客にも力を発揮するうえ、それ以上に大きなメリットがある。
それは、リピート率を上げることにも影響するということだ。

実際、この広告をきっかけに来店した人の再来店率は、40%を超えたという。
40%というと、決して高いリピート率と思えないかもしれない。
だが、浮遊客の来店が多いクーポン券付情報誌の広告をきっかけとした場合は、先ほども述べたように、顧客のリピート率が、10%以下になることも少なくないということなので、かなり高いリピート率といえる。

では、なぜこのような現象が起きたのか?

その理由は、決して難しいことではない。
最初から、お店のコンセプトを伝えた広告に反応し、来店していただけたお客様には、きっかけはクーポン券が目当ての場合もあるだろうが、他に「このお店のコンセプトに共感できるかどうか?」という判断材料もすでにあるわけだ。
それは、どちらかというと言語化された顕在的な判断ではなく、むしろ潜在的な無意識のレベルでの判断なのかもしれない。

つまり「お店のコンセプトに共感できるかどうか?」ということに対して、無意識にでも「YES」という判断を最初にしたからこそ、再来店する可能性が高くなるのだろう。
もちろん、この美容室のコンセプトである「人と人との絆を大切にする」という考えをそのお店のスタッフが守れなかったら、再来店につながらなくなることは言うまでもないことではあるが・・・。

本コラム最終回となる次回は、「コンセプト広告」のなかでも「約束チラシ」という、シンプルかつ有効的な広告表現を紹介しようと思う。


お楽しみに。

 

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