
自然に顧客が増える、磁力のある仕組みづくりVol.3 磁力を生み出す、広報戦略
これまで「モクモク手づくりファーム」の集客を中心に、具体的事例、独自の販売促進手法を紹介してきた。
今回は、「モクモク手づくりファーム」が仕掛ける徹底した広報戦略を紹介しよう。
■ブランド力を高めるために、パブリシティを活用する
ここまで、体験する楽しさを通じて自然に新規客や常連客が増えていくという、独自の販売促進の手法を見てきた。
この集客の仕組みづくりに欠かせないものとして「モクモク手づくりファーム」では、ブランド力をあげている。
そのブランド力は、第三者を活用することを重視しているそうだ。
チラシや新聞広告等は自らの視点で情報発信しているため、一般的には良いことしか載せていないと、多くの消費者が感じているはず。
だからこそ、客観性の高い情報発信が重要であり、そこから信頼性が高まり、ブランド力の向上につながっていく、という考え方なのだ。
しかも、広告に費用を使うくらいなら、別の形でお客様に還元したい、という想いもある。
そのため、新聞社や雑誌社等に定期的に情報を流し、費用をかけずに済むプレスリリースも頻繁に発信しているのだ。
■記者等の心理を考えて、情報を発信する
とはいえ、定期的に情報を発信したとしても、簡単には載せてもらえないもの。
では、新聞社などの記者たちは「どうしたら載せたいと思うのか?」と、記者の気持ちになることを大前提に、戦略的な取り組みをしている。
例えば
・政治的なネタ等が少なく、比較的世の中が騒がしくない時期に情報を流す。
・どの話題に反応するかわからないので、ひとつの情報に関して、さまざまな角度から話題性のありそうな内容を盛り込む。
またパブリシティというと、掲載時期はお任せになってしまうというのが一般的だが、報道を流す時期や記者会見を自ら設定するなどの取り組みで、掲載日のコントロールもしている。
その他にも、お子様向けの体験教室の情報は、お出かけマップなどの全国的な観光情報雑誌に情報を流したり、団塊世代向けの雑誌には貸農園の情報を流す等、ターゲットや時期に応じて、媒体も選別して情報発信を行っている。
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記者の気持ちを捉える工夫がなされたプレスリリース
■経験から生まれた広報担当者のマナー その1「電話対応の極意」
昨年1年間で、さまざまな新聞や雑誌に掲載された数は650件。
パブリシティとして取り上げてくれる数としては、驚異的な数字である。
その陰には、広報部担当者の独自のノウハウがあるのだ。
例えば、「マスコミ関係からかかってくる電話は、広報担当者に一本化」しているという点。
連絡先は広報担当者の携帯電話で、夜中でも対応するそうだ。
せっかくマスコミから電話がかかってきても、いろんな所にたらい回しにされて、取材日を決めるにも時間がかかってしまう、というケースはよくあるものだ。
マスコミの方に手間を取らせず、いかに迅速に対応するか、ということはとても重要になのである。
その心配りの積み重ねで、新聞記者の方が気軽に来やすい場所になっていったそうだ。
そのために常に情報を整理し、新聞記者の方に応じた情報を提供している。
■経験から生まれた広報担当者のマナー その2「貸し借りをつくらない」
新聞や雑誌等の記者は、3年ごとに部署が変わることが多い。
だが、担当が変わっても、新聞社や雑誌社とのおつきあいが長続きするように、「ありがとう」「ごめんなさい」を言わせない。
要は記者側が「貸しをつくったと思わせない」ということなのだ。
例えば記者クラブや編集部に出向いていって、この記事を載せてほしいとお願いすると、載らなかった場合は「ごめんなさい」と言わせてしまう。
それでは良い関係は長続きしない。
そのために「モクモク手づくりファーム」に自らの意思で来ていただけるよう、プレスリリースのキャッチコピー等に工夫をしているのだ。
記者に来ていただき、取材が終わって帰る時には「お土産を渡しても良いのではないか?」と思ってしまいがちだが、「モクモク手づくりファーム」ではお土産を渡すのも御法度なのだ。
変に気を遣わせてしまって、「ありがとう」と言わせてしまうからである。
お互いに、気持ちの部分でも貸し借りをつくらない関係を続けることが、とても大切とのこと。
驚くことに、ここの広報担当者は、10年くらい前まで経理担当者だったという。
これまで独学で広報を学び、実践としてトライ&エラーで、ここまで徹底するようになったのだ。
大企業などの広報のプロですら脱帽するだろう。
販促手法だけでなく、広報戦略も独自のやり方を築きあげた「モクモク手づくりファーム」。
パブリシティをかける時期や内容、対応策など、どの業種の方にも参考になるはずだ。
最終回となる次回は、貼り紙1つにまでこだわる、徹底した「モクモク手づくりファーム」のブランド管理について紹介しようと思う。
お楽しみに。
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