
イメージ広告は悪か? 構造地図とアイキャッチVol.7構造地図における右脳型と左脳型の使い分け
前号を踏まえた上で今号では、
左脳型広告と右脳型広告の使い分けについてお話ししたい。
使い分けの例を挙げると、コンサルタントや士業の先生はもちろんのこと、
B to B(※)の企業の場合は左脳型広告が望ましい。
なぜなら、これらに該当する取引は、
購買行動が合理的に行なわれる場合が多いからである。
ただ、その場合であっても、
目を引くための工夫が必要であることに変わりはない。
写真の事例をご覧いただきたい。
この事例は、そば店を顧客に持つ、
かつお節卸業の会社が出したDMだ。
ラーメン店を開拓する目的で、
電話帳からまずは300件のリストを
ピックアップしてDMを送っている。
その結果、なんとDMだけで15件の注文を受けることができ、
その後の電話によるフォローで、
さらに15件の注文を受けることができた。
最終的にトータルで30件の注文を受けることができ、
成約率は10%となった。
通常のDMアプローチではあり得ないほどの
高い成果をあげたのである。
DMを送った先は見込み客や既存客ではなく、
この会社のことをまったく知らない未認知客であるにもかかわらず、
このような成果をあげられたことは、特筆すべきことである。
封筒には、「業界初の本まぐろの厚削りをご紹介します」
というように、封筒自体を開けやすいように工夫が施されている。
内容については、2代目の社長が、
創業者である自分の父親を語りつつ会社のこだわりを伝える、
ストーリー性のある挨拶文をはじめ、
商品の訴求ポイントを絞ってわかりやすく伝えていること、
そしてお客さまの声を上手に活用するなど、
随所にかなりの工夫を凝らしている。
とはいえ、このような高い反応が取れたのは、
構造地図の観点から見てもその理由がわかる。
この事例では、ターゲットであるキーマンはラーメン店の店主で、
男性が圧倒的に多い。このように、ターゲットが法人の場合は
コスト面や機能性などの論理的な解釈による判断が、
購買の意志決定に重要な要素となってくる。
このDMの内容を見ればわかる通り、
ビジュアル面を重視した右脳型ではなく左脳型広告によって、
勝ちパターンを築いたと言えるだろう。
反対に、女性客をターゲットにした業種の場合は要注意である。
なぜなら、多くの女性は長い文章を読むことを嫌うからだ。
ましてや、0.2~1秒の間に判断される
広告媒体の場合はなおさらである。
だが、いくらビジュアルが重要だからといって、
派手なビジュアルを意味もなく使ったり、
コンセプトと合わない色で目立たせたりすると逆効果になってしまう。
ダイレクトレスポンス広告を学んできた人にとっては、
まだ納得できないことがあるかもしれないが、
次のことを踏まえてほしい。
もともとダイレクトレスポンス広告の表現は、
歴史的に左脳寄りの傾向が強かった。
なぜなら、対面せずに高額の商品を売るためには、
コピー量の多い説得系の左脳訴求型に
ならざるを得なかったからである。
こうした経緯があったので、ビジュアル面を軽視してしまう
傾向が強くなったのも仕方のないことかもしれない。
だが、私が最も言いたいのは、
いくらダイレクトレスポンス広告が有効な手法だからと言って、
「左脳型広告を安易に取り入れないでほしい」ということだ。
応用せずに、そのまま「店舗系の集客のチラシをまねる」
「女性客がターゲットの業種で使う」
「ブランド系商品であるのに取り入れてしまう」
ということには注意が必要だ。
Vol.5でご覧いただいたチャートをただ「意識する」だけでも、
広告表現に関して、今まで
「よくわからなかった霧の部分が晴れた人」が増えている。
その人たちの中には、広告を自身で作成している人はもちろんのこと、
印刷会社や広告代理店にほぼ丸投げしている人も含まれる。
※
B to B : Business to Businessの略で、会社組織間の取引関係を指す。
例えば、事例のように、かつお節卸業が消費者に販売することはなく、
そば店やラーメン店などに販売することは、
B to Bのビジネスを行なっていると言える。B2Bと表されることもある。
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