
ブランディング=「変えない」VS「飽きる」 Vol.4 新しいカテゴリーを作る
早速だが、ブランディングのために必要な準備について、今回も誤解を恐れずひと言で述べよう。
「それは、新しいカテゴリーを作ることだ。」
そして、次の一行を定義することでもある。
「私の(商品、サービス名)は、最初の(カテゴリー名)である。」
まずこれができれば、強固なブランディングのための準備が1つできたことになる。
そこで、有名企業の例を見てみよう。
「マクドナルドは、最初の(ハンバーガーショップ)である。」
「モスバーガーは、最初の(プレミアム・ハンバーガーショップ)である。」
車で言えば、
「メルセデスは、最初の(プレステージ・カー)である。」
「レクサスは、最初の(ジャパニーズ・プレステージ・カー)である。」
だが、このような大企業はともかく、我々のような中小企業が突然新しいカテゴリーを作ることは
簡単なことではない。
では、中小企業はどのように新しいカテゴリーを作れば良いのだろうか?
その答えは「絞る」というとだ。
それには「製品・サービスの特徴で絞る」「技術で絞る」「ターゲットの属性(性別、年齢、ライフスタイル)」で
絞るなど、様々な絞り方がある。
さらには、最も着手しやすい有効な手段として「地域で絞る」という方法だ。
では、どこまで絞れば良いのだろうか?
それは、あなたの会社やお店が、最初のカテゴリーになれるところまで絞れば良いのである。
例えば、住宅リフォーム会社の場合。
まず絞る切り口として、「耐震専門」「断熱に強い」「外壁塗装に強い」「キッチンリフォームが得意」
「バリアフリーが得意」などがあるかもしれない。
次は、これらの切り口をさらに地域で絞る。
「○○は、○○市で最初のキッチンリフォーム専門店である。」
「○○は、○○県で最初のイタリアンリフォームが得意な会社である。」
このように地域を絞り、素晴らしいブランディングを立て成功した例がある。
「関さば」。
このさばは、「美味しいさば」とその名を知られ、一般のさばの数倍の値段の価値となっている。
「関さば」は商標登録されており、佐賀関町漁港産以外のさばには勝手に使うことはできない。
同じ漁場の三崎町で採れたさばでも同様である。「関さば」のみ、値段が全く違うのである。
魚ですら地域に絞ることにより、ブランディングに成功している例が実際にあるのだ。
さて、このように新しいカテゴリーができたら、消費者に関心を持ってもらえるように、
「購買の意志決定に必要な補完情報」としてのメッセージを、あらゆるコミュニケーションを駆使して
提供していかなければならない。
そして、関心を持ち、一度来店されたお客様には、何度も何度もリピートしていただくための関係を築き、
深い絆を作っていくことが、ブランディングのステップとなるわけだ。
しかし、これらのメッセージは再三申し上げている通り、一貫性を保たなければいけない。
消費者、顧客に対して約束を守らなければならないのだ。
だが、図3のように、マインドシェアのレベルを掘り下げるということは、間違ったブランディングをした場合、
マインドシェア(消費者の心のシェア)の混乱を招いてしまう。
このように、ブランディングのために重要な要素である一貫性を保つために必要なこととは、
「いつでもこれだけは守る」という約束「ブランド・プロミス」を作ること。
要するに変えないものを決めることでもある。
そして、一貫性を保つためには、消費者、顧客に対してのメッセージだけでなく、組織内にも浸透させる必要がある。
このための宣言文を「ブランド・ステートメント」と言い、マーケティング部門がある多くの企業では
明文化しているようだ。
また、ブランディングの憲法的な役割として「ブランド規程書」を作成している企業もある。
次回は、この「ブランド・ステートメント」に絞って、ブランディングを比較的完結にまとめ成功した例を
見ていきたいと思う。
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