影響力の武器
コラムでご紹介したように、
広告で「お店のコンセプトに共感できるか?」に対して、
無意識でも「YES」という判断を最初にしたことによって、
再来店する可能性が高くなるだろうという仮説は、
書籍『影響力の武器(※)』 に、記述されているある考え方を参考にしている。
次のなかから、当てはまる法則または原理をお選びください。
1. 返報性のルール
2. 一貫性の保持の法則
3. 社会的証明の原理
4. 希少性の原理
※現在、アリゾナ州立大学で心理学者およびマーケティングの指導教授をしているロバート・B・チャルディーニの著者
『影響力の武器』は、100万部を超える売り上げで、影響力の問題をやさしく扱いながら、
「ハウ・ツーもの」を超える書として、専門家から高い評価を得ている。

【答え】
2. 一貫性の保持の法則
【解説】
※以下、『影響力の武器』(ロバート・B・チャルディーニ著)より抜粋
1. 返報性のルール
社会学者や人類学者によると、人間文化の規範の中で最も広範囲かつ基本的なものの1つに、返報性のルールがある。このルールは、他者から何かを与えられたら自分も同様に与えるように努めることを要求する。返報性のルールは、行為の受け手が将来それに対してお返しをすることを義務付けるので、人は自分が何かを他者に与えても、それが決して失われるわけではないことを確信できる。このルールに将来への義務感が含まれることによって、社会にとって有益なさまざまな持続的人間関係や交流、交換が発達することになる。したがって、社会のメンバーはすべて、このルールを忠実に守るべきこと、守らないと重大な社会的不承認を被ることを子どもの頃からたたき込まれる。
2. 一貫性の保持の法則
ほとんどの人には、自分の言葉、信念、態度、行為を一貫したものにしたいという欲求がある。あるいは、他の人にそう見られたいという欲求があることを、心理学者はずっと以前から認識していた。この欲求は、三つの要素によってもたらされる。第一に、一貫性を保つことによって、社会の他のメンバーから高い評価を受ける。第二に、公的なイメージに及ぼす影響は別にしても、一貫性のある行為は、一般的に日常生活にとって有益である。第三に、一貫性を志向することで、複雑な現代生活をうまくすり抜ける貴重な簡便方略が得られる。すなわち、以前の決定と一貫性を保つことで、類似した状況に将来直面したときに、関連するすべての情報を処理する必要が少なくなり、以前の決定を思い出して、それに一貫するように反応しさえすれば良いことになる。
3. 社会的証明の原理
社会的証明の原理によると、人がある状況で何を信じるべきか、どのように振舞うべきかを決めるために使う重要な手段の1つは、他の人々がそこで何を信じているか、どのように行動しているかを見ることである。他人を模倣することの強力な効果は、子どもでも大人でも見られ、また、購買における意思決定、寄付行為、恐怖心の低減など、多様な行動領域で認められる。社会的証明の原理を、他の多くの人々(多ければ多いほどよい)が要請に応じた、あるいは応じていると告げるという形で使うことによって、ある人がその要請に応じるように促すことができる。
4. 希少性の原理
希少性の原理によれば、人は機会を失いかけると、その機会をより価値あるものとみなす。この原理を利益のために利用する技術として、「数量限定」や「最終期限」といった承諾誘導の戦術があげられる。これを使う実践家たちは、自分たちが提供しているものを手に入れるには、その量や時間に限りがあることを私たちに信じ込ませようとする。
希少性の原理が効果をあげる理由は2つある。第一に、手にすることが難しいものはそれだけ貴重なものであることが多いので、ある品や経験を入手できる可能性がその質を判定する手っとり早い手掛りとなる。第二に、手に入りにくくなると、私たちは自由を失うことになる。心理的リアクタンス理論によると、この場合、以前よりも自由(および自由に関連する品やサービス)を欲するという形で、自由の喪失に対して反応する。